知らない地の駅に駅ソバがあると立ち寄ってしまう。自分の中で駅ソバは旅情と直結している。初めて訪れた街、青森県三沢市。八甲田山登山のレンタカーをこの街で借りたのだ。車を返して駅に戻る。新幹線の通る街・八戸へ向かう次の電車は1時間ほど先だ。駅構内に期せずして駅ソバがあった。 三沢は米軍基地がある街。往路の大湊行の気動車では軍人の家族とも思える米国人女性二名と乗り合わせた。米軍基地のそばで、低空でランウェイに侵入する「赤い鶴丸」の737を見た。三沢は米軍基地でも、自衛隊基地でも、そして民間空港でもあるのか、と改めて認識した。 街は高いビルもなく静かな通りが続いた。REAL ESTATEという看板を通…
誰もいない真っ白な緩いスロープに大きなカーブを刻んだ。この程度の斜面ならリードスキーをハの字に開き外足の内エッジに体重を乗せて内足の踵を上げて雪面にフラットにするとスルスルと軽く回る。アルペンターンのように踏み込んで抜重、という感覚とは全く異なるものだ。 それはスプーンで雪面をすくうというのが相応しいかもしれない。ターンの度に身が軽くなり自由になった気持ちがするのはなぜだろう。雪と闘う必要のないターン。踵が固定されていないからに違いなかった。羽が生えたかのように回転が楽しかった。 テレマークスキーを教えてくれたのもう20年以上前に出会った本だが、それはスキーハイキングに近いニュアンスを持って楽…
とにかく彼、Hさんは「コレ」と決めていた。これが置いてある店をきちんと調べて選んでいたようだった。Hさんとは仕事の関係上よく飲食をともにすることがあった。残業後に行くことも多かった。 Hさんは中生は頼まずに瓶と決めていた。黒ラベルに金の星。たしかに美味しい。しかし当時のビールはどれも似たりよったりで、特に固執する味でもないと密かに思っていたが、ある理由で自分も賛成していた。 自分が社会人なりたての頃、我が父親も含めて世のオジサンが新橋のガード下で口角泡を飛ばしながら焼き鳥片手に、オトウサンがナイターを見ながら枝豆片手に、瓶を栓抜きでコンコン叩いて栓を開けるのはK社のビールと決まっていた。残り三…
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