こんにちは、と声がした。引っ越した高原の家は敷地を示すフェンスも無ければ門扉もない。家に鍵をかける必要もないと思っているが流石にそれはないだろう。ただ車を停めた庭先からは誰もが自由にやってくる。昨年だったか庭に鹿の糞があったのだから人間以外も自由に往来している。 声の主は家の敷地内にいらした。ウッドデッキに出ると友人夫妻だった。彼らは自分達より一回りは年上だが同じように関東平野の都会の街から山を求めてこの地へ引っ越してきたのだった。海抜千メートルに白い素敵な家を建てている。山歩き、庭仕事、陶芸、写真、音楽活動、と夫婦そろって高原の生活を楽しまれている。山が好きな僕は登山やサイクリングの帰りには…
転居した家の書斎の窓からは甲斐駒が見える。海量というお坊様がこんな漢詩を読んでいる。最後の行だけを引用しよう。主語は「雲間ニ独リ秀ズ鉄リノ峰」、すなわち甲斐駒ケ岳2966mになる。五月に残雪が残るころに、この僧はこの鉄の峰をこう詩っている。「青天ニ削出ス碧芙蓉」と。深田久弥の「日本百名山」は僕にこの素敵な言葉を教えてくれた。碧芙蓉とは美しい表現に思う。 手に取れるように聳えているのに決して平面な地続きではない。我が小屋と甲斐駒の表玄関登山口の間には富士川が刻んだ深い谷がある。白州の谷、そこには名水が湧く。甲州街道がそこを通る。ウィスキーメーカーの工場があり同時にそこは南アルプス天然水の採取地で…
娘は女子大の付属高校に進んだ。彼女が何故その学校を選んだのかは分からぬが確かに自分はそこを勧めた。中学から入学すればとも言った。その大学は漫画家・高橋留美子の母校でもある。高校生の頃にクラスメイトから教えてもらった漫画にすっかり僕は虜になってしまい、コミックスは買いアニメのセル画まで買う始末だった。 中学から入学すると良いだろうなと思ったの辛い受験は一回きりで終えたら、と思ったからだろう。いつか本人もその気になっていた。しかし彼女が小六の秋に自分はドイツへ転勤となりひと月遅れて一家が北緯五十度の街へ引っ越してきた。娘は受験を諦めたが、悔しかったのかホッとしたのかは分からない。 現地の中学校では…
清里の森の自然図鑑シリーズの待ちに待った待望の(シツコイ!)1篇(実に短いです ^^;) 序 野鳥は、(ふだんは「小鳥たち」と呼んでいますが、)ここ清里の森では毎日の愉しみのひとつです。まずは名前をしりたいのです。東京では、すずめとカラスと
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