深い深い雪の中で
朝目覚めると再び外が白かった。一昨日積った雪は昨日には溶けた。そこに又積もる。葉の未だ生えぬブナにもコナラの枝にもしっかり雪が載っていた。供に若い木なのだからこの程度の雪では枝が曲がることもましてや折れる事もない。しかしナンテンの樹は雪の重みに耐えきれず何本かが枝が折れ掛かっているのだった。折れ曲がった枝はすっかり雪の中に埋まってしまった。綺麗でいて寂しい風景だった。 そんな犠牲者がいるにも関わらずに雪は構わず降り続く。枝と雪の境目は分明でなくなりあたかも枝が雪に溶けているようにも思うのだった。全く無慈悲な雪を見ながら僕は記憶の底をさぐる。こんな風景をどこかで見たな。いや読んだのだった。頭の中…
2025/03/20 05:36