鹿往く道
引越しの疲れか、果て無き家の荷物整理か、まだまだ整わぬインフラなのか。体調がいま一つさえない。朝は東側の森の木漏れ日で目が覚める。ウグイスの鳴き声が二重窓を越して響いてくる。体にムチ打ち起床して朝食を取り犬を散歩に連れ出す。帰宅すると精魂尽き果てたように床に就く。体に嘘をついては駄目よ、と癌病棟で入院中に学生時代の友人からアドバイスを受けたことを思い出した。サレンダーなのよ、無理せずに従ってね、と彼女は言うのだった。 情けないけれど仕方ない。午後になってからようやく体を動かすことが出来る。六十七箱あった段ボール箱もようやく片付いたが棚に収まりきらないものは床に置いたままだった。すこしづつ棚もク…